私たちは今、仕事でも私生活でも、ほとんどの時間をデジタルと一緒に過ごしています。
スマホ、パソコン、タブレット、オンライン会議、メッセージ、SNS──。
便利さは間違いなく増えましたが、その分、気づかないうちに、心と頭だけが疲れている、そんな感覚を持つことが増えたのではないでしょうか。
これまでの記事でも、通知との付き合い方、SNSとの距離の取り方、夜スマホをやめる工夫について書いてきました。
ただ、ここで一度立ち止まって考えたいのは、なぜ、私たちはこんなにも「デジタル疲れ」に気づきにくいのか?そしてもう一つ、無理なく続けられる予防法は、どんな形なのか?という点です。
私はいろいろ試していく中で、「小さなルール」をつくる、これが一番負担が少なく、効果が長続きする、と実感しました。
今日はその「考え方」と「つくり方」をまとめていきます。
なぜ私たちは「デジタル疲れ」に気づきにくいのか

まず前提として、私たちは“疲れていること自体”に、なかなか気づけません。
肉体的な疲れなら、体が重い、眠くなる、筋肉痛が出る、など分かりやすいサインがあります。
しかし、デジタル疲れは、もっと静かで、目に見えにくい形で積み重なります。
たとえば──
- 何となく落ち着かない
- 理由もなく焦っている
- 集中力が続かない
- 頭がぼんやりする
こうした状態が1日続いても、「疲れている」という実感にまでならないことが多いのです。
便利さとストレスが同時に増える
スマホやPCは、ほぼ一瞬で情報にアクセスできます。
- 検索すれば答えが出る
- メッセージはすぐ返ってくる
- 動画やニュースは無限に見られる
とても便利ですよね。
しかし、裏側では常に「見られる」「返せる」「対応できる」状態が続いています。
これは言い換えると、休む時間が自然には生まれない、ということになります。
ソファに座っているのに、頭の中では仕事や人間関係がずっと動き続ける。
これが、少しずつ神経をすり減らしていくのです。
「いつでも見られる」が心を落ち着かなくする
デジタル疲れとは何か──
あえて簡単に言い換えるなら、「常に誰かや何かに呼び出されている感覚」だと私は考えています。
現実には呼び出されていなくても、
- 通知が来るかもしれない
- 新しい情報が更新されているかもしれない
- 返信が必要かもしれない
この「かもしれない」が、ずっと頭の片隅に居座るのです。
だからこそ、疲れの正体が分からないまま、消耗だけが進むという状態になりやすい。
ここに対して、「全部やめる」「全部OFF」という極端な対策をすると、たいていは続きません。
そこで登場するのが、小さなルールです。
「小さなルール」が効く理由

まず、結論から言います。
大きな我慢は、ほぼ確実に長続きしません。
「今日からSNSを一切見ない」「夜10時以降はスマホ禁止」「通知は全部オフ」。
意気込みとしては素晴らしいのですが、
- 急に必要な連絡が入る
- 仕事で使う
- つい忘れる
こうした現実的な事情にぶつかり、“できなかった自分”を責める方向へ進んでしまいます。
ここで大事なのは、人は禁止されると、かえって意識が向く、という心理です。
「見てはいけない」と思うほど、気になってしまうのです。
ルールは“縛るため”ではなく“守るため”
私が考える小さなルールとは、自分を縛るものではなく、自分を守るための境界線です。
たとえば、
- 寝る前30分はスマホを別の部屋に置く
- 移動中は音楽だけにする
- 通知はまとめて見る
こうしたルールは、不便をつくるためではなく、「余白」を取り戻すために設定します。
完璧である必要はありません。
7割守れれば、それで十分意味があります。
「選ぶ」余地があるから、続く
小さなルールの最大の特徴は、いつでも例外を作れるという点です。
たとえば、「夜は見ない」と決めていても、
- 家族からの連絡
- どうしても必要な仕事の確認
こうしたものは柔軟に対応できます。
つまり、生活を締め付けるのではなく、“安心して休める枠”をつくる。
それが、小さなルールの本質です。
無理なく続けられる「小さなルール」の設計手順

ここからは、少し実務的な話になります。
私自身が試し、「これは続けやすい」と感じた流れをまとめます。
1)疲れが出やすい時間帯を見つける
いきなりルールを決めるのではなく、どの時間帯に消耗が大きいか、まず観察します。
- 夜になるほど頭が重くなる
- 仕事の合間にスマホを見てしまう
- 寝る前に長く触ってしまう
たいていの場合、疲れているときほど、スマホに逃げやすい傾向があります。
ここで初めて、「この時間帯だけ整えてみよう」と決めます。
2)“軽い約束”を1つだけ決める
次に、本当に小さなことだけ決めます。
- 寝る前だけ充電器を別の部屋に置く
- 休憩の最初の5分は画面を見ない
- 通知はまとめて1回だけ見る
重要なのは、「これならできそう」と思えるレベルかどうかです。
頑張らなくても守れるルールほど、長く続きます。
3)“例外OK”を前提にする
多くの人がつまずくのはここです。
一度できなかっただけで、「自分は続けられない人間だ」と決めつけてしまう。
しかし、実際は逆で、できなくても、また戻れれば成功だと私は思っています。
小さなルールは、守る、少し崩れる、また戻る、この繰り返しで定着します。
4)周囲に宣言しない
意外かもしれませんが、他人に宣言すると、かえって続かないケースが多いです。
「今日は見ないんだよね」と言うほど、自分で意識してしまうからです。
小さなルールは、静かに、自分の中だけで運用する。
それが一番自然です。
5)慣れたら、そっと増やしていく
1つのルールが定着してきたら、
- 夜だけ → 朝も少し
- 通知だけ → SNSも少し
- スマホだけ → PCまわりも少し
というように、範囲を広げていきます。
ここで大切なのは、スピードより、安心感です。
「もう少し増やしたい」と思えたときが、ちょうど良いタイミングです。
続けるためのコツ──失敗した日の扱い方

ここが、今回もっとも伝えたい部分です。
どんなに小さくても、ルールを続けていれば必ず、うまくいかない日が来ます。
仕事で遅くなった日。
人間関係で気持ちが揺れた日。
何となくやる気が出ない日。
そんな日は、
- 長くスマホを見てしまった
- 通知をずっと追いかけていた
- 夜更かししてしまった
こういうことが普通に起きます。
でも、それでいいのです。
「やめる」より「戻る」
私が意識しているのは、失敗したから終わり、ではなく、また戻るだけ、という考え方です。
たとえば、昨日は夜遅くまでスマホを見てしまった。
でも今日は、寝る前だけ充電器を別の部屋へ。
この程度で十分です。
ルールは、自分を責めるためのものではなく、疲れすぎないよう守るためのものだからです。
疲れのサインに気づく
デジタル疲れは、
- 音に敏感になる
- 画面を閉じても落ち着かない
- 何を見ても集中できない
こうした形で現れます。
このサインに気づけると、「あ、少し休もう」と、自然にブレーキをかけられるようになります。
これも、小さなルールの効果です。
まとめ──小さなルールは「自分を守る境界線」

デジタル疲れは、一度にドンと来るものではありません。
少しずつ、静かに溜まっていきます。
だからこそ、無理な我慢より、続けられる工夫が大切です。
- 疲れやすい時間帯に気づく
- 自分に合った小さなルールを決める
- 例外OKで続ける
- うまくいかない日も、また戻る
これだけで、「デジタルに追いかけられている感覚」が少しずつ和らいでいきます。
少しずつ、自分のペースを取り戻していきましょう。

